入管法とは

入管法とは、正式名称を出入国管理及び難民認定法といいます。

その第1条には「出入国管理及び難民認定法は、本邦に入国し、又は本邦から出国するすべての人の出入国の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とする。」と規定されています。

外国人従業員を受け入れようとする企業との関係では「出入国の公正な管理」が法の目的となっている点が重要です。すなわち、入管法の目的を端的にいえば、我が国の利益のために出入国を公正に管理することであって、我が国に入国したい、或いは我が国に居続けたい外国人の利益を守ることが法律の目的ではないということです。

このような法律の目的から入管法には法務大臣の広範な裁量が規定されており、条文を読んだだけでは一見してどのような場合に在留資格等が認められるものか分かりづらい法律といえます。

この点、最高裁判所も「法務大臣は、在留期間の更新の許否を決するにあたっては、外国人に対する出入国の管理及び在留の規制の目的である国内の治安と善良の風俗の維持、保健・衛生の確保、労働市場の安定などの国益の保持の見地に立って、申請者の申請事由の当否のみならず、当該外国人の在留中の一切の行状、国内の政治・経済・社会等の諸事情、国際情勢、外交関係、国際礼譲など諸般の事情をしんしやくし、時宜に応じた的確な判断をしなければならないのであるが、このような判断は、事柄の性質上、出入国管理行政の責任を負う法務大臣の裁量に任せるのでなければとうてい適切な結果を期待することができない」との考え方に立っており、結論として法務大臣の広範な裁量を認めています(最大判昭和53年10月4日)。

また、入管法にはその実効性を高めるため、法律違反に対して厳格な罰則が規定されており、それは入管法に違反した外国人のみならず、当該外国人を法律違法と知らずに雇用した使用者にも及びます。

今後外国人雇用に注目が集まる中、入管法違反に起因する罰則の適用を受けることは企業にとって多大なレピュテーションリスクとなり、避けるべき事態といえます。

以上から、外国人雇用を検討される企業におかれては、入管法及び関係法令についての法解釈能力のみならず、法務大臣の裁量・入管実務に精通した専門家のサポートを受けながら慎重に対応することが求められるといえます。

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